2018年4月11日水曜日

指揮権発動を求める要請書 


2018319
法務大臣 上川 陽子 殿
指揮権発動を求める要請書

法務行政の円滑な運営のため、日夜尽力されていることに深く敬意を表します。

さて、大臣の地元静岡県で発生したいわゆる「袴田事件」について、静岡地裁は4年前の327日、再審開始と死刑及び拘置の執行停止を決定し、確定死刑囚として東京拘置所に収監されていた袴田巖さんは約48年ぶりに釈放されました。
私たち支援団体はその数日前、袴田救援議連を通じて当時の谷垣法務大臣に対し、もし静岡地裁が再審開始を決定した場合、検察が即時抗告しないよう検事総長に対して指揮権を発動してほしいと要請しましたが、残念ながら私たちの願いは届きませんでした。検察の即時抗告により再審開始は棚上げにされ、間もなく4年が経とうとしています。
東京高裁での審理は無益な鑑定のために長期化しましたが、ようやく今月中にも再審の可否について決定が出される見通しです。そこで、支援団体の総意として以下のとおり大臣に要請します。

検察庁法14条の「指揮権」を発動し、下記事項について検事総長を指揮して下さい。
1.   検察に即時抗告を取下げさせること
即時抗告審では捜査機関が半世紀にわたって隠し続けてきた袴田さんの取調べ録音テープが開示され、接見盗聴、トイレにも行かさない自白強要、偽証、捜査書類の偽造など、再審理由に該当する数々の犯罪・違法捜査が客観的な証拠によって明らかになりました。これを屁理屈で否定し、関連証拠を未だに隠し続ける検察は「公益の代表者」としての職責を放棄しています。「検察の理念」などあってなきがごとしの検察に即時抗告を維持する資格はありません。今からでも即時抗告を取下げるよう指揮して下さい。

2.   東京高裁が再審を認める決定をした場合、検察に特別抗告を断念させること
 私たちは、これまで提出された全ての証拠を公平な目で検討すれば、東京高裁が再審開始を認めると確信しています。しかし、「省益の代表者」に成り下がった検察が最高裁に特別抗告する可能性は否定できません。現に松橋(まつばせ)事件や大崎事件など他の再審請求事件でも、検察は不当にも特別抗告をし、高齢の再審請求人の死を待つかのような非人道的な姿勢を貫いています。東京高裁が再審を認める決定をした場合には、それを重く受け止め、検察が特別抗告しないよう指揮して下さい。

法務大臣の指揮権は、検察の独善・暴走に歯止めをかけるために国民が付与したものです。法が「個々の事件の取調又は処分については、検事総長のみを指揮することができる」とした趣旨は、言うまでもなく、民主主義の根幹である三権分立にとって不可欠な「司法権の独立」を担保するため、準司法的性格を有する検察権が、政党の利害を背景にした内閣から不当な政治介入を直接受けることを防止することにあります。現政権と何ら政治的利害関係を持たない袴田さんの再審請求では、指揮権発動が不当な政治介入になるはずもありません。むしろ前述のとおり、「袴田事件」では検察が独善に陥り、袴田さんの無実を示す証拠を隠してまで、再び死刑台に連れ戻そうと躍起になっています。検察の暴走をストップさせるには、国民の代表である大臣が、国民が付与した指揮権を発動する以外に方法はありません。

―― 冤罪は生きてそそがなければ惨め過ぎるのだ。
これは、袴田さんが獄中で書いた日記の一節です。30歳で逮捕された袴田さんは、愛する子供とも引き離され、両親の死を獄中で知らされました。袴田さんはすでに82歳、再審請求人である姉のひで子さんも85歳です。「生きて雪冤を果たす」という袴田さんの切なる願いを叶えるためには一刻の猶予もありません。
最後に、これも何かの因縁でしょうか。大臣が将来への希望を抱きながら静岡雙葉学園で青春の日々を送っていた19689月、袴田さんはそのすぐ隣にある静岡地裁の法廷で死刑判決を宣告され、絶望の底に突き落とされました。あれから50年、未だ確定死刑囚の袴田さんに真の自由を取り戻させる適任者は大臣をおいて他にはいません。今こそ、造船疑獄での悪しき前例を打ち破り、果敢に指揮権発動を決断されることを強く求めます。

袴田巖さんの再審無罪を求める実行委員会
【構成団体】アムネスティ・インターナショナル日本/日本国民救援会/日本プロボクシング協会袴田巖支援委員会/袴田巖さんの再審を求める会/袴田巖さんを救援する静岡県民の会/袴田巖さんを救援する清水・静岡市民の会/浜松・袴田巖さんを救う市民の会/無実の死刑囚・袴田巖さんを救う会

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